お縫い子テルミー

不思議でとらえどころのない本だ。
「お縫い子テルミー」は歌舞伎町を舞台にしているはずなのに、きらびやかさはない。
16歳のテルミーが、女装で歌うキャバレー歌手の男性シナイちゃん(おそらく30代後半)に苦しい片思いをしているのに、なんだろう、この非現実感は。
ただ、祖母、母、テルミーと、流しの居候暮らしを続け、学校に通うこともなく育ったテルミーが、初めて自分のための物を縫いだすシーンは、成人式の儀式のようで大好きな部分だった。
 
「ABARE・DAICO」は小学5年生の誠二の夏休みを描いた中編。
肩に力の入ってない誠二が、けっこう可愛い。
ところで、女性作家が書く小学生男児の物語は思いつくのだが(大抵さわやかだ。親思いだったり、現実的なことをいったりするが、冷静だ)、男性作家が書く小学生女児の爽やかな物語が思いつかない。
あるのか?
女性作家が書く小学生男児はファンタジーだ。
もっとバカでいいんじゃいかと思ったり。
東野圭吾のしのぶセンセシリーズは、うーん、関西の小学生男児はアホでなければ人気がでないからなー。

お縫い子テルミー

お縫い子テルミー